三河湾のマダカ釣りの現況

☆ 留意点


○ 三河湾とは?

 三河湾は渥美半島と知多半島に囲まれた水域です。 東側は渥美湾、西側は知多湾と分かれており、一般的には伊良湖〜師崎を結ぶ線の内側が三河湾とされます。 三河湾内には三河港、衣浦港という大きな貿易港が存在し、また豊川、矢作川の二つの一級河川が流れ込みます。

 三河湾の特長としては、まず全体的に浅いということがあげられると思います。 特に三河湾内には汐川干潟、一色干潟という全国でも屈指の広大な干潟が存在しています。 また半島に囲まれており、特に湾奥部では水が入れ替わりにくいため、河川より流入した淡水と混じり合った汽水域となっている範囲が広いのも特長です。 そのため、ハゼ、セイゴ、ボラのような汽水域を好む魚は比較的生息しやすい環境ですが、グレ(メジナ)やイサキなど外海を好む魚は、沖合または伊良湖・師崎周辺まで出ないとなかなか釣れません。

 湾奥部に比較的多いと思われる魚種としては、

上記のものがあります。 この他数は多くないものの、クロダイ、キビレ、メバル、タケノコメバル、カサゴ、ウナギ、アナゴなどが棲息しています。 また潮回りの良い場所にはアジ、メッキ、イワシ、サヨリ、コノシロなどが回遊してくることもあります。

 郷土史の自然環境資料を読みましたが、三河湾は魚が大きく育ちにくい環境なのだそうです(泣)。 そのため、大物狙いの方には全く向かない水域となっています。 あと、ベイトフィッシュも小さいということも頭に入れておく必要があります。


○ 三河湾の環境は・・・

 前述の通り潮が入れ替わりにくいということが災いし、特に湾奥部は水が非常に汚いです。 河川より生活排水や工業廃水、代掻きの泥水などの農業廃水がガンガン流れ込み、三河港や衣浦港周辺では赤潮が頻発します。 生活排水や工業廃水はある程度浄化されるようですが、農業廃水は垂れ流しですね・・・。 三河湾でアサリの貝毒がよく発生するのも、無関係ではないと思います。

 にもかかわらず、海のゆりかごでもあった大塚海岸を埋め立ててラグーナ蒲郡のようなものを建設してしまうなど、他の地方と比べて地元自治体・企業の環境保護意識が30年以上遅れています。 地元有力紙の中○新聞も、左寄りのくせにト○タがやることにはだんまりなんだもんね(笑)。 『三河湾の汚水を遠州灘に排出する運河を掘ろう!』というマヌケな案が出たこともありましたが、静岡の人激怒しますよ(^^;

 人から聞いた話ですが、日本海側から西浦温泉に来た観光客が夕食の時、『こんな汚い海で捕れた魚は食えない!』と言い放ったそうです。 まあそうでしょうな・・・日本海側と比べちゃあねえ・・・。 てか、なんで三河湾なんかに観光に来たし(^^;

 そもそも、豊川と矢作川の上流域の杉林が多すぎです。 大雨のたびに有機物を多く含んだ土砂が大量に流出し、三河湾に注ぎ込んでいます。 矢作川とか、毎年秋になると全く意味のわからない河川改修工事やってますが、あんなのに国税使うなら、使ってない国有林を伐採して広葉樹を植林して欲しいです。 本当、公害として訴えたいレベルです。スギ花粉・・・(泣)


○ 釣り場も少ない

 前述のように三河湾は浅いため、釣りが出来る環境である場所もかなり限られています。

 三河港や衣浦港のようなところは埋め立て地であるため水深もあるのですが、海沿いはほとんどが企業用地となっているため、立ち入り出来る場所はわずかしかありません。 これは名古屋港でも同じことが言えますが・・・

 そうなってくると河川に目が向くことになりますが、比較的大きな河川は豊川と矢作川だけです。 しかし両方とも上流にダムがあり、水量は安定しません。 設楽ダムできたらもっと状況悪くなるでしょう。 この他の小・中河川のほとんど(豊川放水路・矢作古川含む)が、中・下流域に塩害防止用または取水用の水門が設けられており魚の遡上も阻害されるため、なかなか思い通りの釣りが出来ない状況となっています。

 マダカ釣りに関してはさらにポイント狭まりますね。 具体的な場所は書きませんが、三河湾内でもセイゴの魚影が極めて薄いエリアも存在します。 その代わり極小ロックフィッシュが釣れたりしますが・・・


○ でも、釣り客は多い!!!

 三河湾の釣り客はもとより増加傾向にあったのですが、2009年のリーマンショックを境に激増しました。 この地方はリーマンショックの影響をまともに受けたので、パチンコその他の娯楽から、釣りに移行した人が多かったのでしょうか・・・?

 例えばシーバスフィッシングの基本である「橋下明暗部」を例に取ってみますが、橋下明暗を攻められるのは一つの橋あたり大河川で2人、小・中河川で1人しかいません。 三河湾はそれほど河川が多くありませんし、橋も多くありません。 三河湾エリアに橋下明暗を攻めようと思うアングラーが同時刻に50人も居たら、ほぼ全ての橋が埋まってしまいます(泣)。 特に「休日前夜、大潮または中潮、下げ潮」の条件が揃うと、好きなポイントに入るのはかなり困難な状況です。 運良く入れたとしても、そのポイントはもう叩かれた後なんてこともありますしね・・・

 しかも釣りマナーが最低な釣り客も数多いです。 黙〜って潮下3mに入って来てルアー投げ始めるアングラーや、横から人の目の前に電気ウキを投げてくるエサ師など後を絶ちません。 かつて浜名湖にエサ釣りによく行っていましたが、あそこは本当に最低でしたね。 ただし、浜名湖でマナーの悪い釣り客の大半は愛知県民なのですが・・・。 とにかく、愛知県周辺で釣りをする場合、何度も何度も相当嫌な思いをすることは覚悟しておいた方がいいでしょう。

 釣りマナーだけではなく、釣り場にゴミを残していく釣り客の多いこと多いこと。 ルアーアングラーが去った後にはルアーパッケージ、エサ師が去った後には青虫やケミホタルのパッケージが・・・もはや日本人としてのモラルさえありません。 豊川や矢作川は、地域の重要な水源でもあります。 飲み水として利用している地元民を代表してはっきり言います。 ゴミを捨てるヤツは絶対に来るな!!!


○ 持ち帰る魚はほどほどにお願いします!

 三河湾エリアでは東京湾などと比べリリーススタイルが一般的ではなく、キープする人が非常に多いです。 時代が20年くらい遅れてますね・・・

 もっとも、私もルアーを始める前まではキャッチ&イート派でした。 しかし年々増え続ける釣り客と、それに反比例して減り続けるマダカの個体数を憂慮し、リリース派に転向しました。 それに、機動性が重要なルアーフィッシングで、クーラーボックスを持ち歩くなんて最悪ですからね(^^;

 私はキャッチ&イートを完全には否定しません。 リリース前提で釣っていても、エラなどを損傷し死に至らしめてしまうことも希にありますし、リリースした魚がその場では泳いでいても、その後すべての魚が生き延びているのかどうかはわからないからです。 港湾部では護岸上にマダカを置かざるを得ないケースがほとんどで、魚体も傷ついてしまっているわけですので・・・

 しかし持ち帰って食べてしまったら、致死率は100%です。 リリースした場合は100%にはならないでしょう。 タグ&リリースでタグのついた魚がまた捕獲された例もあるわけですからね。 イート派の人が、『リリースしたシーバスは全部死ぬ!!!』と言ってることもありますが、あれは完全に嘘です(^^;

 ただ、シーバスだけリリースするなんてことは、完全にルアーアングラーのエゴです。 『リリースしましょう!』って言ってるシーバスプロのブログ見ると、メバルは持ち帰って食べてるし(笑)、ネイティブトラウトのアングラーの人もイワナはリリースするけど、海でキス釣ったらしっかりキープみたいな。 私もハゼ釣ったら大きいものは持ち帰ります。 ただ、自分の好みの魚種は減って欲しくない!という思いがあるのみで、リリーススタイルというものは全く褒められるものではありません。 「イート派よりリリース派の方がエライ!」なんてことは絶対にないわけです。

 そんなわけで私はキープする方を否定することはできませんが、さすがにこれはどうか・・・というのはあります。

・ルアーアングラーが、12月下旬に釣った抱卵スズキを釣具店に持ち込んで記念撮影

・エサ師が、クーラーボックスいっぱいに詰め込んだチビセイゴを釣具店に持ち込んで、スポーツ紙に掲載

 いくらなんでも、これはダメでしょ、と思うのですが・・・。 そもそもチビセイゴなんて誰でも爆釣できるので、何の自慢にもなりません。 載せる新聞も新聞ですがね。 左巻きなら左巻きとして、資源の乱獲を批判して欲しいものですがねえ(^^;

 本当にセイゴ・マダカ釣りをこれからも楽しみたいのだったら、抱卵個体のキープや乱獲は自制すべきだと思います。 私の家の近くの河川も、年々マダカが減り続けているのが本当によくわかります。 かつては上流まで遡上してきて頻繁にボイルしていたのに、今ではボイルは全く見られなくなってしまいました。 子孫や後世の人たちにも、マダカが釣れる海・河川を残すということを考えて欲しいと思います。

 あと、三河地区の釣具店へ要望です。 持込制のシーバスダービーはやめて下さい!!!



マダカの釣り方にもどる

inserted by FC2 system