シーバスルアーの種類


○ トップウォーター(ペンシルベイト, ポッパー等)

サミー100

 基本的に水面でアクションする(させる)タイプのルアーとして、トップウォータールアー(トップと略)があります。

 一口にトップと言っても、実際のところペンシルベイト、ポッパー、スウィッシャー、ダーター、ノイジーなどなどたくさんの種類があります。 水面に浮くタイプなので軽いのですが、ウェイトが後方に配置されているものが多いため、飛距離は優れています。 ブラックバス等の淡水の釣り、またはシイラ等のオフショア(船釣り)では広く用いられているようです。

 しかし、シーバス用に開発されたトップウォータールアーは極めて少ないというのが現状です。 ミノーと比較するとトップウォーターが活躍できる状況はそんなに広くなく、条件が良くないとなかなか出せません。 また、ペンシルベイトはドッグウォーク、ポッパーはポッピングなどのテクニックが必要で初心者向きでは無いので、ここでの詳細な説明は割愛させていただきます。(まあ、難しいテクニックじゃないですけど)

 とはいえ、トップウォータールアーはマダカの活性が高く、水面でベイトを捕食している時にはミノーを凌駕する威力を発揮することもあります。 水面が「ボフッ!」とか大爆発するので、興奮すること間違いありません。 ミスバイトがやたら多いんですけどね(笑)。 ミノーその他での釣りに慣れてきてから、購入するといいと思います。

アイルマグネットSB
 ソルト用ペンシルベイトとして定番のものとしては、ダイワの「T.D.ソルトペンシル」があります。

 その他シーバス用トップウォータールアーは、タックルハウスの「リップルポッパー」、「Tuned K-TEN TKRP "9/12"」、デュエルの「アイルマグネットSB(廃盤)」があります。 このルアーはポッパーあるいはダーターのような形状ですが、重心移動システムにより前方に重心が移動するため、ただ巻きでもミノー的(またはノイジー的)な動きをするという特長があります。



○ シャローランナー

エリア10

 水に浮き、ほとんど潜らない、または深くても30cmくらいまでしか潜らないミノーとしてシャローランナーというものがあります。 本来であればフローティングミノーの範疇に入るのですが、ここではあえて別として紹介させていただきます。

 シャローランナーはリップレスミノーが多いです。 通常のミノーには、水を掴みアクションさせ、水に潜らせるためのリップがついていますが、リップレスミノーはリップがない、またはリップの代替となるボディと一体化した水受け面があるのみですので、リップ付きミノーと比較してアクションが小さく、あまり潜らないようになっています。

 シャローランナーが有効な時は、例えばバチ抜け(ゴカイが水底から抜け出してくること)が発生しバチが水面近くで漂っている場合、ボラの稚魚が水面近くまで逃げてきているときなどです。 またほとんど潜らないことを利用して、水深30〜50cmくらいのドシャローを攻めてみるのも面白いですね。 ドシャロー、特に岸際はカニなどのベイトが豊富な場所でもあります。

 マダカ(シーバス)はベイトを追い込みやすいストラクチャー近辺で捕食する性質がありますが、実は水面も立派なストラクチャーなんです。 ベイトは基本的には水面より上に逃げることは出来ませんからね。 シャローランナーがよく釣れる理由の一つにはこれがあります。

 ただし、マダカが深いレンジでベイトを捕食している時、例えばボトムでハゼを捕食している時なんかではシャローランナーではなかなか出せないことも多いです。 また、リップレスのものは足場が高いところでは非常に扱いにくく、水を掴めないので強風時にはラインが押されてルアーが流され使いにくくなります。 シャローランナーは確かによく釣れるルアーではありますが万能ではないので、他のルアーでの釣り方もおぼえておきたいですね。

TKLM
 シャローランナーは各メーカーから星の数ほどたくさんの製品が発売されているので、どれをご紹介しようか迷うところです。 代表的なところではタックルハウスの「Tuned K-TEN TKLM "9/11"」、アムズデザイン(アイマ)の「コモモSF-125」などがあります。 この二つはシャローランナーとしては定番かと思います。 ただ定番化しすぎて、最近はマダカの反応が鈍くなってきてはいますが・・・

 その他、ガイア「エリア10」は、動きが極めて小さいためバチ抜けシーズンに有効です。 またエフテック「エスフォー」はシャローランナーの中でも動きが大きく、マダカが派手な動きを好む場合に適しています。



○ フローティングミノー

BF75

 リップレスのものはシャローランナーとして紹介しましたので、ここではリップ付きフローティングミノーを紹介いたします。

 リップ付きフローティングミノーは水を掴みアクションおよび潜らせるためのリップがついていますので、リップレスミノーよりアクションが大きく、深く潜ります。 潜るレンジはリップの大きさ・角度・重心位置によって異なりますが、7〜9cmのルアーでは20〜60cmほど潜るものが多いようです。 ただしディープダイバーと呼ばれるリップが大きく角度が浅いルアーは、100cm以上潜ります。

 リップ付きフローティングミノーは比重がシンキングミノーよりも軽いため、立ち上がり(動き出し)も早く、アクションもきびきびした動きになります。 アクションが大きいタイプはアピール力が高いので、やる気のあるマダカに食わせるのに適しています。 また沈まないため、水深の浅いエリアでも根掛かりを防ぐことが出来ます。

 欠点は設定されているレンジより深く潜らせることが出来ないため、マダカのレンジが深い場合はなかなか食わせられません。 またアクションが大きいものは、スレたマダカや、バチを捕食しているマダカに対しては有効でないことも多いです。

 飛距離についても、リップの存在により空気抵抗が増すため、リップレスミノーより飛距離を伸ばしにくくなっています。 水に浮くタイプなので重量もシンキングより軽くなりますので、その点でも飛距離は不利になります。

SL14
 リップ付きフローティングミノーはかつては各メーカーから色々な種類が出ていましたが、最近はシャローランナーやシンキングミノー、シンキングペンシルに押されて店頭から数を減らしつつあるようです。 特に7〜9cmサイズのものは廃盤となる製品もあるほどで、新製品として出てくることは少なくなっています。

 代表的なルアーとしては、やはりタックルハウスの「K-TENブルーオーシャン」でしょう。 75mmから175mmまでのサイズがあり、フローティングはもちろんサスペンド、シンキングのタイプもあります。 ただ、最近あまり売られていないのが残念ですが・・・。 その他有名なところでは、デュオの「タイドミノースリム」、ダイワの「ショアラインシャイナー」シリーズなどがあります。

 ラパラの「X-Rap」はサスペンドミノーですが、淡水用のサスペンドであるため、海水では実質フローティングミノーとして機能します。 ジャーキングが非常に有効なルアーですので、持っておいて損はないと思います。



○ シンキングミノー

CD-7

 沈むタイプのミノーはシンキングミノーと言います。

 左図では一応レンジは50〜200cmとしていますが、シンキングは任意のレンジまで沈めてからリトリーブするのが基本であるため、レンジを書くのはナンセンスです(笑)。 例えば着水直後からファストリトリーブしてしまえば水面直下30cm以内を探ることが出来ますし、5m沈むのを待ってからリトリーブすれば500cmのレンジを探れるということになります。 ただ実際のところ、シンキングミノーが5mも沈むのを待つのも大変ですし、各ルアーに使いやすい適したレンジが設定されているので、一応書いておきました(^^;

 シンキングミノーはフローティングミノーより比重があるため、フローティングより飛距離を伸ばせます。 ただ、飛距離よりもやはり色々なレンジを探ることが出来るのが非常に大きいですね。 水深のあるエリアでは必須のタイプのルアーだと思います。

 欠点は沈んでしまうため、シャローエリアでは根掛かりしやすいということでしょう。 また、比重があるため泳ぎ出しとアクションのキレはフローティングミノーより劣ります。

9S
 最近は各メーカーとも、シンキングミノーに力を入れているところが多いですね。 やはりロストしやすいので、ルアーが良く売れるからでしょう(^^;

 代表的なルアーとしては、ラパラの「カウントダウン」があります。 バルサという軽量な木材で出来ており、アクションはウォブリングで、非常によく動くルアーです。 シーバスルアーではなく汎用ルアーですが、シーバスもよく釣れます。 特にCD-7とCD-9は非常によく釣れるルアーですが、大きいリップと重心位置が災いして飛距離は全然出ません(泣)

 ジャクソンの「アスリートミノー」も定番のシンキングミノーです。 アクションはローリングで、ややおとなしい動きです。 やや高価ですが、7Sと9Sはよく釣れるルアーなのでおすすめできます。

 メガバスの「X-80SW」、ラッキークラフトの「ビーフリーズ」などはミノーというよりシャッドと呼ばれるタイプで、パタパタと激しくローリングアクションするためアピール力が高いです。 また、これらのようにラインアイがリップの付け根付近についているタイプは、底の障害物にリップが接触するとボディが大きく持ち上がるため、根掛かりしにくいです。



○ シンキングペンシル

slim70

 ペンシルベイトはトップウォータールアーですが、沈むタイプはシンキングペンシルと呼ばれます。 ただし重心位置や形状はミノーに近いものが多く、ジグミノーとも呼ばれます。

 シンキングミノーと同じく、任意のレンジまで沈めてからリトリーブするのが基本であるため、レンジを表記するのはあまり意味がありません(笑)。 ただやはり探りやすいレンジはあるので、いちおう30〜150cmとしておきました。 シンキングミノーより浅いレンジの方が探りやすいですね。

 水を掴みアクションするリップが完全に無いため、アクションは非常におとなしくなります。 フラフラと蛇行したり、軽くローリングするアクションのものがほとんどです。 しかしそのおとなしいアクションが、スレたマダカには有効となります。 また、バチ抜けシーズンには最も広く用いられているルアーでもあります。

 リップがないため空気抵抗が少なく向かい風にも強く、ミノーより圧倒的な飛距離が出ます。 また非常に浮き上がりが良く、深いレンジに沈めてからリトリーブすると、上昇させるアクションを演出することも出来ます。 反面、リップがないため強風時にはラインが押されてルアーが流され使いにくくなります。 また、一定のレンジをキープするためのリトリーブ速度・竿の高さを維持するのは、使い慣れていないと難しいですね。

 その他の欠点は沈んでしまうため、シャローエリアでは根掛かりしやすいということでしょう。 特にシンペンはリップがないため、障害物を回避できないのでボトム付近は大変危険です。

80
 最近はシンキングペンシル、やたらとたくさん出てますね。やっぱりロストしやすいから?(笑)。 正直、こんなにたくさん種類いらないですが・・・

 シンキングペンシルの代表的存在としては、やはりラッキークラフトの「ワンダー」があげられるでしょう。 数あるシンペンの中でも比較的動きが大きく、バチ抜けシーズンのみならず色々なシーンで活躍できます。 また、ローリングしながらフォールするフラッシングフォールは、クロダイ・キビレにも効果が大きいです。

 ジャクソンの「にょろにょろ」はバチ抜けパターンには定番です。 デッドスローではほとんど泳がないルアーですが、これがバチ抜けには向いているようです。

 少し変わったタイプでは、エフテックの「ピースリー」、サムルアーズの「フラッシュバック」があります。 これは一般的なシンキングペンシルより重心が後方に配置されていてペンシルベイトに近いものとなっており、ドッグウォークも可能です。



○ バイブレーション

TDVIB

 リトリーブすると激しく振動するプラグで、バイブレーションと呼ばれます。 ほとんどが沈むタイプですが、ごくわずかですがフローティングバイブレーションも存在します。

 バイブレーションも、任意のレンジまで沈めてからリトリーブするのが基本であるため、レンジを表記するのはやっぱり意味がありませんが、沈むのが非常に早いので100cm以上のレンジを探るのに適していますね。 ただし、着水直後からファストリトリーブすれば、100cm未満のレンジも探ることは出来ます。

 高比重でまた重心位置も下部であるため、プラスチック製プラグの中ではトップクラスの飛距離が出ます。 沈むのが早いため深いレンジを探ることも可能ですし、激しく振動するため魚へのアピール力は非常に高いものとなっています。 「どうしてもシーバスが釣れない!」という人は、秋に有望なポイント(エサ釣りでセイゴが釣れる場所)でひたすらバイブレーションを投げ続けるのが、一番の近道かもしれません(^^;

 欠点はやはり、沈むのが早く非常に根掛かりしやすいということに尽きると思います。 また、最初からバイブレーションを乱用するとマダカがスレてポイントが沈黙してしまうようなこともありますので、基本的には他のプラグで探って反応がなかった場合に使用した方がいいですね。

JV60S
 昔はシーバス用バイブレーションの種類はそんなに多くなかったのですが、最近になって各メーカーがバイブレーションに力を入れてくるようになってきました。 しかしロストしやすいバイブレーションが、1,000円以上の価格はキツいと思います・・・(泣)

 オーソドックスな形状のバイブレーションプラグとしては、「T.D.バイブ タイプ-R シーバスチューン 」、コーモランの「プライアル・バイブレーション」などがあります。 このタイプはやや低比重ですが激しく振動するためアピール力が非常に高く、また沈みすぎないので比較的浅い場所でも使用できるという利点があります。 特にプライアルバイブは実売400〜500円程度なのでおすすめですね(^^;

 バスデイの「レンジバイブ」は価格がやや高いですが、空気抵抗の小さい平たいボディで飛距離が出ますし、また沈むのが早いため深いレンジも探りやすくなっています。 アクションも激しいため、アピール力も高いです。 最近各メーカーから新発売されるバイブレーションは、レンジバイブに似たものか非常に多くなっています。

 タックルハウスの「ローリングベイト」はバイブレーションに分類すべきか迷うところですが、小刻みにローリングするルアーです。 バイブレーションより低アピールですが、おとなしい動きを好むスレたマダカにとっては絶好のルアーとなります。 またヤマリア(マリアオフィス)の「マール・アミーゴ」も小刻みなアクションで、またソリッドボディで丈夫であるため、ストラクチャーにぶつけてしまったりしても易々とは壊れません。



○ その他

 ここで紹介した以外にもいくつかの種類のルアーがありますが、とりあえずは上記のルアーだけでも十二分に釣りは成立します。 しかし後々揃えた方が良くなってくるタイプのルアーも、一部紹介します。

・スピンテールジグ

 金属(鉛等)ボディに、ベアリングスイベルを介して回転するブレードが装着されているルアーで、ブレードベイトなどとも呼ばれます。

 金属製であるため高比重で沈みが早く、また飛距離もバイブレーションに匹敵します。 ブレードがキラキラ反射するため、ベイトが魚であるとき、特にデイゲームに強いという特長があります。

 欠点はやはり根掛かりしやすいことでしょう。 またブレードの大きさに比例して引き抵抗も強くなるため、ティップがある程度硬いシーバスロッドの方が使用に向いています。

 製品としては邪道の「クルクル」、ベイトブレスの「湾ベイト」などがあります。



・メタルジグ

 平たい金属(鉛等)ボディにフックを付けたルアーです。

 金属製であるため高比重で非常に沈みが早く、飛距離は各種ルアーの中でも一番です。 価格は非常に安く、30g以下のメタルジグはほとんどが1,000円以下で購入できます。 サーフ(砂浜)での大遠投や、オフショア(船釣り)で深場に一気に沈めるような釣りに向いています。 一般的に、メタルジグが使われる釣りは「ジギング」と呼ばれます。

 欠点は非常に根掛かりしやすいことです。 根掛かりしやすい浅いところで重いメタルジグを使用するのは避けた方が無難でしょう。

 製品としてはジャクソンの「ギャロップ」、ヤマリアの「リトルビット」などがあります。


 その他、ソフトベイト(ワーム)なんかもありますが、ここでは割愛します。 ワームは使ってないので紹介できません(^^;


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